【第58回 気象予報士試験 実技1】問1を徹底解説|発達中低気圧・海上暴風警報・トラフ・温度移流・雲域分布
こんにちは!今回は第58回 気象予報士試験 実技1 問1を解説します!
今回の問1では、発達中の温帯低気圧の実況解析がテーマです。
実技試験記述5型
基本セット:どこで(場所・高さ・時刻)+ なぜ(原因・背景場)+ 何が起きている(現象)
- 分布型:「A側では○○であり、一方B側では△△となっている。」
- 時間変化型:「◯時にはAであったが、△時にはBとなり、AからBへと変化した。」
- メカニズム型:「〜ため、□□が強まり、その結果△△となる。」
- リスク型:「〜ため、◯◯のおそれがあり、△△への注意・警戒が必要である。」
- 構造型:「◯◯付近の◇◇hPaで気温減率が小さい安定層の上端となっており、ここが前線面に対応する。」
記述式問題の考え方はこちらの記事も参考にしてください!
⇒ 【実技試験講義No.1】気象予報士試験実技試験記述5型 – 独学資格塾
■ 問1(1) 日本付近の気象概況
模範解答
① 45
② 北東
③ 海上暴風
④ 18
⑤ 65
⑥ 30
⑦ 1400
⑧ 800
⑨ 東北東
⑩ 12
⑪ 大きい
⑫ -38hPa/h
⑬ 低気圧性循環
◇ 解説
図1の地上天気図では、紀伊半島沖に中心気圧990hPaの発達中の低気圧があります。
この低気圧は、天気図中の表示から、
45ノットで北東へ進行
していることが読み取れます。
また、この低気圧には海上暴風警報が発表されています。
今後18時間以内に最大風速が65ノットに達すると予想されており、低気圧中心の南側1400海里以内、北側800海里以内で、30ノット以上の風が吹く可能性があります。
日本海にも別の低気圧があり、こちらは東北東へ進んでいます。
図2下段を見ると、紀伊半島沖の低気圧に伴う前線は、850hPa面の12℃の等温線付近に対応しています。
また、温暖前線の方が寒冷前線よりも温度傾度が大きいことが読み取れます。
さらに、北海道北部から朝鮮半島北部にかけて、850hPa面の温度傾度が大きい領域があり、ここも前線帯になっています。
この前線帯上で、700hPa面の鉛直p速度が
-38hPa/h
の極値を示す地点は、850hPa面の低気圧性循環の中心付近に位置しています。
つまずきポイント
鉛直p速度は、負の値が上昇流です。
「-38hPa/h」は下降ではなく、上昇流を表します。
■ 問1(1)まとめ
- 紀伊半島沖の低気圧は45ノットで北東進
- 海上暴風警報が発表されている
- 18時間以内に最大風速65ノット予想
- 30ノット以上の強風域は南側1400海里、北側800海里
- 前線は850hPaの12℃等温線付近に対応
- -38hPa/hは上昇流を示す
■ 問1(2) 輪島の海面気圧
模範解答
1000、1001、1002、1003hPa
◇ 解説
輪島付近の海面気圧として取り得る整数値を答える問題です。
輪島付近は、紀伊半島沖の低気圧と日本海の低気圧の間に位置しています。
周囲の等圧線配置を見ると、輪島は1000hPa以上1004hPa未満の範囲にあります。
問題文では、小数点以下を切り捨てた整数値をすべて答える指定なので、
1000、1001、1002、1003hPa
となります。
つまずきポイント
等圧線問題では「線上の値」だけでなく、線と線の間の範囲を読む必要があります。
■ 問1(3) 地上低気圧と500hPaトラフAの位置関係
模範解答
低気圧中心はトラフAの東300kmにある。
※400kmも可。
◇ 解説
図2上段では、紀伊半島沖の地上低気圧に対応する500hPaトラフAが示されています。
地上低気圧中心とトラフAの位置を比較すると、低気圧中心はトラフAの東側にあります。
距離はおよそ、
300km
です。
温帯低気圧は、500hPaトラフの進行方向前面で発達しやすくなります。
そのため、この低気圧は上空トラフ前面で発達していると判断できます。
記述式解答のポイント:分布型
どこで:地上低気圧中心とトラフAの位置関係で
なぜ:トラフ前面では低気圧が発達しやすいため
何が起きている:低気圧中心がトラフAの東約300kmにある
■ 問1(4) 温度移流と鉛直流の分布
模範解答
低気圧中心の東側は-140hPa/hの強い上昇流を伴う暖気移流の場、西側は+38hPa/hの下降流を伴う寒気移流の場になっている。
◇ 解説
図2下段から、850hPaの温度移流と700hPaの鉛直流を読み取ります。
低気圧中心の東側では、南寄りの風により暖かい空気が流れ込んでいます。
つまり、
暖気移流
の場です。
この暖気移流域では、700hPa面で-140hPa/hの強い上昇流が解析されています。
一方、低気圧中心の西側では、北西風により寒気が流れ込んでいます。
つまり、
寒気移流
の場です。
この寒気移流域では、700hPa面で+38hPa/hの下降流が見られます。
記述式解答のポイント:メカニズム型
どこで:低気圧中心の東側・西側で
なぜ:東側では暖気移流、西側では寒気移流が生じるため
何が起きている:東側は強い上昇流、西側は下降流の場になっている
超重要
温帯低気圧では、基本的に前面で暖気移流+上昇流、後面で寒気移流+下降流という構造を取りやすいです。
■ 問1(5) 衛星赤外画像で見た雲域の特徴
模範解答
低気圧中心の北東側に背の高い発達した雲域が広がり、南西側は下層雲のみとなっている。
◇ 解説
図3の衛星赤外画像では、低気圧中心の北東側に白く明るい雲域が広がっています。
赤外画像で白く明るく見える雲は、雲頂高度が高いことを示します。
したがって、低気圧中心の北東側には、
背の高い発達した雲域
が広がっていると判断できます。
一方、南西側は暗く見える低い雲が中心で、下層雲のみとなっています。
これは、問1(4)で確認した鉛直流分布とも対応しています。
- 北東側:上昇流域 → 雲が発達
- 南西側:下降流域 → 雲頂高度が低い
記述式解答のポイント:分布型
どこで:低気圧中心の北東側・南西側で
なぜ:北東側は上昇流域、南西側は下降流域に対応するため
何が起きている:北東側は背の高い発達した雲域、南西側は下層雲のみとなっている
つまずきポイント
赤外画像では、白い雲=雲頂高度が高い、暗い雲=雲頂高度が低いと読みます。
可視画像の明るさとは意味が異なるので注意しましょう。
■ 問1 全体まとめ
- 紀伊半島沖の低気圧は海上暴風警報対象
- 45ノットで北東進し、18時間以内に65ノット予想
- 輪島の海面気圧は1000〜1003hPa
- 低気圧中心はトラフAの東約300km
- 東側は暖気移流+-140hPa/hの強い上昇流
- 西側は寒気移流++38hPa/hの下降流
- 北東側は背の高い雲域、南西側は下層雲のみ
※ 本記事では、一般財団法人 気象業務支援センターより利用許諾を受けて、気象予報士試験問題を掲載しています。
問題文の著作権は一般財団法人 気象業務支援センターに帰属します。
以上、第58回 気象予報士試験 実技1 問1の解説でした!
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